株式投資の本や解説記事でよく目にする「ROE(自己資本利益率)」。
大事だとは聞くけれど、実際に投資判断でどう活かせばいいのか
ピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
私自身も以前は「PERやPBRを見れば十分では?」と思っていました。
しかし調べていくと、ROEは「会社の稼ぐ力」や「将来の増配余力」を
測るうえで大きなヒントになることがわかりました。
この記事では、ROEの基本から誤解されやすい点、
そして高配当投資家にとっての活用法まで整理していきます。
1.ROEの基本
ROEの計算式はシンプルです。
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
つまり「株主が出したお金を使って、会社がどれだけ
効率よく利益を稼いだか」を示す指標です。
株主視点で経営効率を測れる便利な物差しといえます。
2.誤解されやすいポイント
●負債は関係ない?
数式上は負債は出てきません。
そのため借金を増やすことでROEが水増しされるケースもあります。
※「DuPont(デュポン)分析」をすることで、ROEを分解して
財務レバレッジ(負債依存度)を確認することはできます。
●高ければ高いほど良い?
一時的な特別利益や過度な借金でROEが跳ね上がることがあります。
重要なのは「数年間安定して高ROEを維持しているか」です。
●PERやPBRで十分では?
実は「PBR = PER × ROE」という関係があり、
PERやPBRから間接的にROEのニュアンスを把握できます。
ただし、企業経営側から見るとROEは「株主資本を効率的に使え」
という目標になりやすく、投資家との共通言語として重宝されています。
3.ROEのメリットとデメリット
●メリット
・成長性が見える:効率的に資本を回す会社は利益が積み上がりやすく、
増配や株価上昇につながりやすい。
・経営のうまさがわかる:自己資本を遊ばせず、株主還元や投資に
活かせているかの目安になる。
●デメリット
・自己資本比率が低い企業がROEを上げようとすると、
自社株買いの乱発や過度なレバレッジに走ることがあります。
その場合は安全性が損なわれるので注意が必要です。
※補足
「自社株買いの乱発」がなぜ危険なのか?
株主還元としては魅力的ですが、本来なら事業の成長に使われるべき資金を
過度に自己株取得に回している場合、将来の成長性を犠牲にしている可能性も考えられます。
「過度なレバレッジ」のリスクとは?
借入金を活用すれば少ない自己資本で大きな利益を狙えますが、
逆に業績が悪化した際には、利息の支払いが重荷となり、
経営が一気に苦しくなる諸刃の剣です。
4.事例で見るROE
実際の企業で考えてみましょう。
ANYCOLOR(5032)
・ROEは40~50%で安定推移
・自己資本比率も高く(75.4%)、負債に依存しない堅実経営
・利益が積み上がり、自社株買いや配当余力も豊富
👉 高配当投資家からすると配当利回りは低めですが、
長期的な増配余力を持つ企業体質です。
PERやPBRはすでに高めですが、成長が続けば投資妙味があります。
ちなみに私は「にじさんじ」のシスター・クレアさん推しで、
ANYCOLORを100株ガチホ中です(買値2,377円→9/19現在5,560円)。
身近な「推し株」を通じてROEの意味を実感しています。
5.高配当投資家にとってのROE
高配当株投資では益回り(1/PER)や配当利回りが主役ですが、
ROEを加えると次のような発見があります。
・増配余力を見抜ける:高ROEを継続している企業は利益が雪だるま式に積み上がり、
将来の増配につながりやすい。
・財務健全性の確認:ROEが高くても負債依存度が高い企業はリスクあり。
ROEと自己資本比率をセットで確認すると安心です。
例えばROE10%と20%で自己資本100億円をスタートした場合、
10年後の純利益の積み上がりは大きな差になります。
複利的に効く点もROEの魅力です。(※自己資本を減らさない前提)
6.まとめ
・ROEは「株主資本を使った稼ぐ力」を示す指標
・高ければ良いとは限らず、継続性が大事
・PERやPBR、自己資本比率と組み合わせて見ると投資判断の精度が上がる
・高配当投資家にとっても「増配余力」を測るヒントになる
私自身、以前はROEを重視していませんでしたが、今では投資判断の補助線として役立てています。
ROEを敬遠されている方も、一度ご自身の保有銘柄のROEをチェックしてみてはいかがでしょうか。
意外な「増配候補」が見つかるかもしれません。
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